昭和56年以前の建物を無料で耐震診断するのは

市役所で行っている無料耐震診断には、昭和56年5月31日以前に着工したものという条件がありますが、ではどうして昭和56年なのかという部分の説明がなされていません。

昭和56年以前の建物を無料で耐震診断してくれるのは、それなりの訳があります。

建築基準法は昭和25年に作られました。その後、木造住宅の耐震性に関わる大きな改正は昭和34年と昭和56年の2度にわたって改正されています。

そこで昭和56年の改正には2つのポイントがあります。

1.耐力壁の必要量
2.耐力壁の強度

まず一つは必要とされる耐力壁の量の算定が大きく改正されました。

住宅の耐力壁の量は建物の重さと階数に応じた数値を当該面積に乗じてその必要量をだします。その係数が大きく変わりました。多少ばらつきはありますが、1.25倍から1.4倍にその必要量が増えています。

おのずと昭和56年以前の建物は現行基準法から見ると、2割から3割弱耐力壁が少ないということになります。
必要壁量の変化(2階建てのみ抜粋)単位:㎝/㎡

昭和56年改正以前の建物

2階建ての

1階 2階
 屋根および壁の重い建物 24  15
 屋根の軽い建物       21 12

昭和56年改正以降の建物

2階建ての
1階  2階
 屋根および壁の重い建物 33 21
 屋根の軽い建物 22 15

あわせて、もう一つ耐力壁を構成する要素の耐力的評価も改正されています。

上記に書いた係数に面積を乗じて耐力壁の計算上の必要長さが出ます。
その後、間取りのなかで耐力壁とする部分とその種類を決め、それぞれの壁の長さと壁の持つ強さの係数を乗じたものを合計して計算上の必要長さが、計算で出した必要長さを上回っていることを確認します。

ですから耐力壁の持つ強さの改正も耐震を考える上で大きな要素です。
特に大きいのは、木ずり壁の評価です。56年の改正ではその評価が3分の1に見直されています。同様に4.5㎝×9㎝以上の木材を使った筋かいも3分の2の評価となっています。
木ずりとは外壁などのモルタル塗りの下地として板が張られたもののことで、サイディングが無い頃の外壁はモルタル塗りかトタン張りが主流でした。

  56年以前 56年以降
壁によるもの  土塗り壁 0.5 0.5
 土塗り壁 1.0 1.0
 木ずり壁 片面 1.5 0.5
 木ずり壁 両面 1.0
筋かいによるもの  3㎝×9㎝以上の木材 1.5 1.5
 4.5㎝×9㎝以上の木材
 9㎝×9㎝以上の木材 4.5
 9㎝×9㎝以上の木材
    をたすき掛け

以上のように昭和56年を境に建物の耐震性を検討する上での条件が大きく改正されたため、昭和56年以前の建築基準法に基づいて建てられた建物は市役所で無料耐震診断が受けられるのです。
ぜひ耐震診断を行い、早期に耐震補強を行うことをおすすめします。